積み荷の降ろし中の事故

積み荷の降ろし中の事故


 積み荷の降ろし中の事故のことが事務所のケースカンファレンスで議論になり引き続き追及課題となっている。


平成8年5月31日、大阪地裁判決(平成6年(ワ)第6306号)は普通貨物コンテナ専用車からのジョルダーという器具を用いて荷下し作業中,積み荷がくずれて負傷した事故だ。


 駐車中の事故として、自動車の運行に起因して生じた事故と言えるかが争点となった。起因するということであれば自賠責法3条により運行供用者の責任も追及できるし、自賠責保険も追及できる。


 判決は次のように述べて運行起因性を肯定した。最高裁は自動車に固定された装置をその目的に従って利用している場合にも運行起因性を肯定している。これは、自動車と一体となった装置として見れるかどうかが重要なポイントととなる。この事例ではコンテナと荷台とが一体となっていたことを認めた。さらに、ジョルダーと言われる道具(棒状のもの)も含めて装置の利用とした。


 このように運行起因性の判断は自動車・装置・利用目的という客観的な状況下から判断することになっている。


 自動車損害賠償保障法二条二項にいう「自動車を当該装置の用い方に従い用いること」には、走行停止の状態におかれている自動車の固有の装置をその目的に従つて操作使用する場合も含むと解するのが相当である(昭和五二年一一月二四日第一小法廷判決・民集三一巻六号九一八頁参照)。


 そこで、この観点から(一)の事実を見るに、被告車はコンテナ専用車であつてその形態からしてコンテナなしで、貨物を運搬できず、コンテナと一体となつてはじめて貨物自動車としての効用を果たしうるものであり、コンテナを被告車に乗せた場合、コンテナと被告車の荷台は物理的にも外観上も一体をなすものである。そして、右コンテナの床面は、ジョルダーを差し込むための溝が設けられており、本件事故は右ジョルダーを用いての作業中に起きたものである。


 右事実関係のものとにおいては、溝が設けられているコンテナの床面は、本件車両と一体をなすものとして本件車両の固有の装置というに妨げはない。また、本件荷下し作業は、直接的にはジョルダーを用いてなされたものであるにせよ,そのジョルダーは、床面の溝にこれを差し込むことによつてその効用を果たすものであるから、本件荷下し作業は本件車両の固有の装置をその目的に従つて使用することによつて行われたものということができる。 

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