認知症老人の交通事故
認知症老人の交通事故
父親は高齢で脳梗塞も起こしたことがあるため、免許の返納をすすめていますが、なかなか家族の言うことを聞いてくれません。もし交通事故を起こした場合どうなるのでしょうか。
認知症であっても任意保険でカバーされるようです。
運転免許については2015年に高齢者の免許更新制度が改定され,一定の検査が義務づけられました。高齢者についても一定自己責任で運転することができるというところでしょうか。
認知症の老人については妻や子供といった家族の監護義務が問題なりました。高度の認知症老人が鉄道事故を起こして,鉄道会社が老人の妻(当然高齢者)および長男に監護義務者として損害賠償請求する事件がありました。
最高裁判所は,監護義務というのは夫婦,親族が身の回りの世話をするという義務でしかないと判断しました。つまり,世間のために世話をしている訳では無い,周りの人に対する義務では無いと判断したのです(H28.3.1)。そのため,原則として認知症老人が徘徊などして重大事故を引き起こしたとしても賠償責任が発生しないのが原則です。
但し,監護の状態や認知症患者の症状の状態など総合的に判断して,周りの人に迷惑をかけないよう配慮する義務があると認められるような事情があるときには賠償問題が発生します。これはケースバイケースで簡単に割り切れません。