交通事故 脳脊髄液減少症が認められた事例

交通事故 脳脊髄液減少症が認められた事例 №1

 最近大阪高裁で脳脊髄液減少症が認められた判決が出た(H23.7.22、判時2132号46頁)。非常に重要な判例なので紹介したい。

 被害者は助手席に同乗して追突事故にあったのち、頭痛やふらつきが治らないため病院で診断を受けたところ外傷性脳脊髄液減少症と診断された事例だ。この事故は平成15年7月3日の事故だが、頑迷な症状に対して被害者が脳脊髄液減少症が疑われたのは平成17年4月のことだ。

 脳脊髄液減少症と確定診断を受けたのは平成19年5月21日となっている。その間、被害者は症状の原因をもとめて何人かの医師を訪ねている。 確定診断を得るのに実に4年近く要している。ここにこの種の疾患の難しさがある。患者はときには「気のせい」にされ、「心身症的症状が強い」とされた。さぞかし悔しかったろう。

 弁護士も含めて、痛み、しびれ、ふらつきといった症状を正確に理解することは難しい。弁護士の場合は患者の立場に立つため、依頼者が正しいという考えからまず行動する。医師の場合はどうだろうか。

 判決では脳脊髄液減少症の診断基準である国際頭痛分類診断基準が妥当性を持つかどうかが争われた。被控訴人は起立性のめまい、ブラッドパッチの72時間以内の効果などの要件を満たさないと主張したのだ。

 これに対して、判決は「国際頭痛分類基準が厳格にすぎることは明らか」として「損保側」の主張を退け、脳脊髄液減少症の発症および交通事故との因果関係を認めた。この事件は被害者に後遺障害を認めているが、ちょっと特殊なのでこの点は別に解説したい。
 

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