交通事故による高次脳機能障害とアルツハイマーとの区別

交通事故による高次脳機能障害アルツハイマーとの区別

 高齢者が交通事故にあった結果,高次脳機能障害の被害を被った場合,アルツハイマーとの区別がしばしば問題となります。

 脳障害の結果,記憶障害であるとか,注意・集中力障害,遂行機能障害,行動障害が起きます。また,人格の変化もあり,交通事故前とは異なった人格が現れる場合があります。自発性の低下,衝動性,易怒性,幼稚性,自己中心性,病的嫉妬,ねたみ,強いこだわりなども高次脳機能障害の症状の一つです。

 アルツハイマーも脳の機能障害ですから,実際には高次脳機能障害との区別がつきにくいことになります。

 判例は肯定したもの,否定したものと判断がわかれます。大阪高裁H14.1.22は肯定し,病的素因として2割の減額をしました。これは事故後寝たきりとなり,アルツハイマーを併発した事例です。東京高裁H15.1.20は原告の症状はアルツハイマーによって生じたものとし,事故との因果関係を否定しました。

 これらの判断の差は非常に難しいのですが,やはり事故そのものの重大性や,患者が受けた頭部の外傷の程度が異なることが大きな差となってあらわれたのではないかと思います。前者は頭部に血腫があった事例で,後者はそれがありませんでした。

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