交通事故 損益相殺となる場合、ならない場合
交通事故 損益相殺となる場合、ならない場合
交通事故によって利益を得た場合には利益の分だけ賠償金は減ることになります。私たちはこれを「損益相殺」と呼んでいます。普通は損益相殺で迷うことはありません。現にもらった分は差し引かれるという簡単な理屈です。
しかし、弁護士でも時々分からなくなるのは公的な制度で補償されるような場合です。
例えば,国民年金法に基づく障害基礎年や労災保険法に基づく労災年金などは、口頭弁論終結時までに支払われた分は全て元金に当てられます。これらの支給は被害弁償と「同性質の補償」とされるため損益相殺の対象となります。
しかし,労災保険の特別給付金などは社会福祉の観点から支給されるお金で、被害を賠償するという性格を持ちません。そこで、「同性質」とは言えないため損益相殺の対象とはなりません 。あるいは、条例に基づいて障害に対して補償される給付金はやはり「同性質」とは言えないため通常は損益相殺の対象とはなりません。
生命保険は保険契約に基づいて支払われる金銭なので事故とは別に支払われる金銭とされるため損失補償の対象とはなりません。搭乗者保険も損益相殺の対象になりません。
ほかにもいろいろありますが,あまり考えるとかえって分からなくなることがあります。いろいろありますから、そのつど弁護士に相談してみた方がよいという程度に程度に覚えておくのがよいかと思います。