交通事故 高次脳機能障害の立証
交通事故 高次脳機能障害の立証
高次脳機能障害被害者の事件を被害者といっしょに取り組んでいる。
高次脳機能障害の場合、自賠上は血腫であるとかなんらかの脳の外傷の痕跡が求められる。しかし、いつもそれがあるとは限らない。
そこで、それに代わるものは無いだろうかというのが現在の私たちのテーマだ。
交通事故被害者、特に高次脳機能障害の場合、被害者のネットワークが比較的発達している。その間にいろいろな情報がとびかっている。良い悪いもあったり、私たちの事例には全く当てはまらないものもある。
そんな中、頭部の点状血痕、骨折線、難聴などが根拠にできないか検討を進めている。
1. 点状血痕
原告は・・・・・・MRI(甲■)の読影の結果として「右頭頂葉皮質下に微小点状出血痕が否定できない。」とされている(甲■)。頭部に強い衝撃がある場合は、脳が強く揺さぶられる結果、脳内に出血が生じることがある。上記点状出血は、こうした強い衝撃によって生じた脳内出血の痕跡を示しており、びまん性軸索損傷を根拠づけるものである。
2. 骨折線
・・・・原告は・・・・・・両側側頭CT検査を受けているが、その結果、原告には錐体尖部に骨折線があることが判明した。その読影結果は次の通りである。
「錐体尖部に骨折線を認める。方向としては錐体骨長軸にほぼ沿っており、longitudinal fracture(縦骨折)に区分される。上縁は中頭蓋窩底部に達するが、鼓室、乳突洞、蜂巣などの含気腔に髄液漏を示唆する軟部濃度は認められない。骨折線は上半規管の前・後脚の間(subarcuate tract)を進展する。」
骨折線そのものは過去に頭部に強い衝撃を受けたことを示す。側頭骨骨折は「交通事故、落下などによる頭部鈍的外傷により生じる。」とされている(甲■)。また、縦骨折も「頭部側面への鈍的外傷によって生じる。」とされている。従って、本件においても過去に原告の頭部に対して、強い衝撃があり、その結果、側頭部に骨折線が生じたと考えられる。本件において強度の衝撃は本件事故において他にない。
3) 外傷性難聴
・・・・原告は・・・・・・難聴の検査を受け、両耳にC5dipありと診断されている(甲■)。C5dipとは4000Hzの範囲にのみ特徴的な聴力低下が見られる難聴で、外傷もその原因の一つとされている(甲■)。