保険会社の社会的責任
保険会社の社会的責任
愛知県弁護士会では交通事故事件のあっせん調停手続を用意している。私はあっせん委員といして仲裁に入ったことがあるが、保険会社側と被害者側との金額がかなり大きな差があった事例があった。保険会社側は言い分に差がありすぎるので話し合いをうちきり、訴訟で解決したいと切り出した。私としては何の話し合いもなく終わるというのは到底認められない。保険会社は事件を解決する社会的責任があるはずだと告げ、双方が歩み寄るよう繰り返し説得した。結論は被害者が納得いく方向で成立した。
私は保険会社が、困った事例になるとすぐ訴訟を持ち出す姿勢に疑問を感じている。訴訟は時間も費用もかかるし、敗訴というリスクもある。保険会社は大きな組織だから、同じように時間、費用、敗訴といっても個人とは違う。交通事故問題における、保険会社の社会的役割の大きさを考えるなら、解決に向けて公共的姿勢からの誠意ある姿勢が必要ではないだろうか。